レストランのコーヒーがたま〜に美味しくない時があります。コーヒー豆の保管方法の問題なのか、適切な抽出がなされていないのか、はたまた安いだけの美味しくない豆を使用しているのか…様々な要因はあるかと思います。
私個人は店舗によってコーヒーの抽出器具(マシンを含め)が見えている場合、「あ、ここでコーヒーを飲むのはやめて、別の店舗でデザートとコーヒーを楽しもう」と思う時もあります。
では、なぜレストランでのコーヒーが(あまり)美味しくないのか。
そこを今回は探って行きたいと思います。

レストランのコーヒーが安価で美味しくない理由とは?
外食をするとき、食事の後にコーヒーを頼むことはよくあるでしょう。しかし、何となく味が薄い、あるいは苦みが強すぎると感じたことはありませんか?もしかしたらデザートの甘味が強いため、コーヒーは敢えて苦いものを用意していることもあるでしょう。食事の味がしっかりしたものが多い為、食後のコーヒーはアッサリと薄めの味わいで提供されているお店もあるかもしれません。それでも、「このレストランのコーヒーは美味しくないな」と思った経験がある方も多いかもしれません。では、なぜ多くのレストランは、原価の低い、時には美味しくないコーヒーを提供しているのでしょうか?その背景には、いくつかの理由があります。
1. コスト削減のため
最も一般的な理由は、コスト削減です。レストランは利益を出すために、提供する商品の原価を抑えなければなりません。コーヒーもその例外ではなく、特に飲み物は利益率が高いため、原価を抑えることが重要視されることが多いのです。コーヒー豆の品質が高いほど、当然仕入れ価格も高くなります。さらに、良質なコーヒーを淹れるには、専用の器具や時間が必要です。レストランでは、料理や他の飲み物の提供に力を入れるため、コーヒーにそれほど多くのコストや手間をかけられない場合が多いのです。特に高級レストランであっても、全ての飲食に高品質を求める顧客層が少なければ、コストを抑えたコーヒーを選ぶ傾向が強まります。
2. コーヒーへのこだわりが少ない客層
レストランに来るお客様の多くは、料理をメインに楽しんでいるため、コーヒーに対してそれほど高い期待をしていないこともあります。例えば、フランス料理やイタリアンレストランでは、ワインや他のアルコール類が食事の中心になることが多いため、コーヒーの味がメインの関心事とはならないことが多いのです。そのため、レストラン側もわざわざコーヒーの品質を追求する必要性を感じていない場合があります。特にランチタイムやカジュアルなレストランでは、コーヒーは食後の一息をつけるためのものであり、質にこだわるよりも手軽に提供できることが重視されます。
3. 提供のスピードと効率が重要視される
レストランでは、料理の提供速度やサービスの効率も非常に重要です。コーヒーは一般的に短時間で提供されるべきとされており、良質なコーヒーはそのための手間がかかることがあります。例えば、スペシャルティコーヒーを淹れるためには、豆をその場で挽き、適切な温度で抽出しなければなりません。このプロセスは時間がかかるため、他のオーダーとバランスを取るのが難しい場合があります。そのため、レストランでは早く提供できる大量生産されたコーヒー豆や、既に挽かれた状態で供給される豆を使用することが一般的です。これにより、コーヒーの味にばらつきが生じたり、フレッシュな風味が失われたりすることがあります。
4. 他の飲み物に注力している
レストランは、コーヒーだけでなく、他の飲み物からも利益を得ています。特にアルコール類は、原価に対して販売価格が高く設定されることが多く、飲み物部門の大きな収益源となります。そのため、レストランはワインやカクテルなどのアルコールメニューに力を入れていることが多く、コーヒーにそれほど注力する必要性を感じていないこともあるのです。例えば、ワインの提供に特化しているレストランでは、ソムリエがワインリストを厳選し、お客様に最高のペアリングを提供します。しかし、食後のコーヒーにはそれほど力を入れず、スタンダードなラインナップに留めることが多いです。これは、コーヒーの需要が食事中のアルコール飲料に比べて少ないためであり、レストラン全体の収益に与える影響が小さいからです。
5. コーヒーがメインではない業態
そもそも、レストランはコーヒー専門店ではありません。カフェとは異なり、食事がメインの提供内容であるため、コーヒーの品質が優先されないことが一般的です。レストランは料理の質やサービスの質を重視する一方で、コーヒーは付随的な要素として扱われることが多く、そのため、最高の品質を求める必要がないと判断されることがあります。カフェやコーヒー専門店では、コーヒーの淹れ方や豆の選定が重要なポイントとなり、店の看板商品として高品質なコーヒーが提供されます。しかし、レストランでは、食事全体のクオリティや雰囲気が優先されるため、コーヒーの重要度は相対的に低くなるのです。
結論
レストランが提供するコーヒーが必ずしも高品質ではない理由は、主にコスト削減、客層の需要、提供スピード、他の利益源、そしてレストランの業態自体にあります。お客様の多くは、食事がメインの楽しみであり、コーヒーはその補完的な存在として扱われることが多いのです。もちろん、全てのレストランがこの限りではありません。高級レストランやコーヒーにこだわる飲食店では、質の高いコーヒーを提供している場合もあります。もし、食後に美味しいコーヒーを楽しみたい場合は、コーヒー専門店や、コーヒーにこだわりを持つレストランを選ぶと良いでしょう。いずれにせよ、レストランのコーヒーに期待しすぎないことで、全体的な食事体験をより楽しむことができるかもしれません。コーヒーにこだわるか、それとも食事やサービス全体に注力するかは、レストランの方針や顧客のニーズに大きく依存しているのです。
あくまで私個人の持論ですが…
前回のブログの内容から引用すると、食後のコーヒーがもたらすメリットは少なからずあり、店舗としては微量ながら売上の増加にも繋がります。それを鑑みても、今より少しだけコーヒーに力を入れても良いのでは?と思っております。「終わりよければ…」ではないですが、折角美味しい料理とお酒を楽しんで来た最後に美味しくないコーヒーが出てきたら…個人的にはガッカリします。料理やデザートの味とのバランスを考えながらコーヒー豆を選ぶのは、非常に難しく骨の折れる作業です。その為に弊社や他社コンサルタントがいるのではないかと考えております。
困った時こそ、その道のプロを頼ってみてください。ただメニューに載せているだけのコーヒーや紅茶よりも「ウチに来たのに、コレを飲まないなんて勿体無い。」そう言えるメニューにしてみませんか?
それでは、また。
Gracias!