『飲食業界を盛り上げる』とは、どういうことなのかについて本気出して考えてみた 中編

前回のブログからの続きとなります。
前編では
『感謝でメシは食えない』
『流行病での大打撃』
『飲食人の地位が低すぎる』
という話を書きました。
詳しいことはコチラからどうぞ。

今回はどうやったら飲食人の地位が上がっていくのかな…みたいな話をしたいと思います。

専門知識の必要性

いきなりぶっちゃけてしまうと、ほぼ非現実的な話になりますし、「そんな時間もお金も余裕ないよ!」ってお店が多いと思います。それでも、少し耳を傾けていただけたら幸いです。

今、色んな飲食店が乱立している中で専門的な料理を出しているお店がほとんどだと思います。ここで言う専門的とは「イタリアン」「フレンチ」「中華」「焼肉」「ハンバーグ」などのジャンルのことと思ってください。その中で、キチンと自店の料理、ドリンクの詳細を理解しているスタッフは何人いますか?
オーナーさんやシェフを除いた時、果たして2人もいるでしょうか?お客さんに聞かれてしっかりと説明できるスタッフはいるでしょうか?

もちろんオペレーションによってはお客さんに説明することなど無いでしょうから、そういったお店の方はここから先は読まなくても良いかと思います。
でも、レストラン、バール、居酒屋…まだまだお客さんと接する機会の多い店舗はありますよね。そういった所に向けて発信しております。

話を戻して…自店のメニューの理解度の必要性って意外と軽視されているんですよね。「スタッフにはオペレーションを円滑に回して欲しい。」そう思う気持ちもよく分かります。でも、お客さんはアルバイトだろうが社員だろうが、疑問に思って聞いたことにすぐに返事をしてほしいんです。「この料理に合うお酒ありますか?」「これ、どんな料理ですか?」と言う質問ですね。これ、答えられなくて「少々お待ちください。確認してまいります。」と言うシーンを何度も見てきましたし、言われてきました。
私は飲食業界にいる期間が長いので、「あ、新人さんに嫌な質問しちゃって申し訳なかったな…」と思うのですが、前回書いた私の父のような人間は「なんでわかんねぇんだよ!」となりがちなのです。

私が今まで働いていた店舗ではありがたいことにアルバイトはメニュー説明の座学がありました。社員は「ちゃんと自分で勉強しろよ」と言う雰囲気でもありましたが。「このメニューはこういう料理で、量が多いから2名様だと注意喚起した方が良いよ」とか「この料理頼んだ方にはこのワインを勧めると相性良くて喜ばれるよ」など、こういったことを入店初日から数時間行い、ようやく初めてホールに出られました。
今思うと、本当にありがたい環境だったなと感じます。オペレーションに関しては時間経過とシフトに沢山入ることで覚えていきますが、メニューに関して営業しながら覚えるのは難しいですよね。ましてやアルバイトに「休憩時間や出退勤時間を使って覚えてね」と言っても、よっぽどヤル気のある子じゃないとそこまではしませんよね。
だったら最初に詰め込むのが1番良いんです。もちろんメモを取らせていつでも見返せるように。メニューのコピーでも、持参のメモ帳でもイイんですが後から見返せることが重要です。自分の言葉で、書いて、見直す。結局学校でやっていた勉強とやることは変わらないんですよね。

ここにさらに付随させるのであれば、「実際の料理を食べてみる」ということです。賄いとしてなのか、研修としてなのかは問いませんが、1番いいのは社員アルバイト問わず全員が集まって量、見た目、匂い、味を共有することです。味の分からないものを売れと言って売れる人は少ないです。1日で全メニューは無理でも1日2品ずつ食べていけば、絶対に覚えます。ここでも必ずメモを取らせることが大切ですね。自分の言葉でいかにお客さんに伝えるか、が重要だと思います。こうして少しずつ専門知識を増やしていくと、お客さんに聞かれてもすぐに答えられるスタッフが出来上がります。

この専門知識っていうのは侮れなくて、某サイトなどの口コミや、ミステリーショッパーなどのサービスでもここを書かれているお店もあります。たまに見かけませんか?『料理は美味しかったけど…』と言う口コミ。お客さんはやっぱりその料理を食べに行くなら、知識などがしっかりあるスタッフに対応してもらった方が満足度が高いんですよね。高級店が高級である所以って、食材、料理の豪華さもさることながら、スタッフの専門性の高さもあるんですよね。でも、これを高級店じゃなくても出来たら…お店の強みが増えますよね!
こうやって専門性を高めて行けたら、いよいよオペレーションです。

作業の意味を分からせる

オペレーション教育って、本当に大変ですよね。個人の成長スピードには差がありますし、「何度も言ったのに…」って思うことは私も多々ありました。でもこれ、理由、理屈を理解させると案外スムーズに覚えてくれるんです。

ものすごく初歩的な所からいくと、「なぜお客さんが入店したら、おしぼりとお冷を持っていくのか」です。飲食店に長いこと勤めている方は分かると思いますが、答えは簡単「お客さんは喉が渇いているかもしれないからお冷を出すし、外から入ってきたら手を綺麗にしたいからおしぼりを出す」んです。『何をそんな当たり前のことを…』と思ったアナタ!きっとアナタは飲食歴が長く、仕事が出来る方だと思います。でもその当たり前が、他の人には当たり前じゃないんですよね。だからそこを噛み砕いて教えてあげることが重要です。
お皿の持ち方、シルバー、カトラリーの重ね方、グラスの持ち方、全てに理由を添えて説明してあげてみてください。

さらに言えば、スタッフが自主的にやったことに対して「なんでそうしたのか?」という理由を聞いてあげてください。「〜だから」と答えが返ってきて、行ったことが正しければ褒めてあげる。逆に違うのであれば「そういう時はこうする方が良いよ」とその都度訂正してあげるのが1番効果的です。もし「何も考えてませんでした」という答えなら、「常に考えて、理由をつけて行動して欲しい」旨を伝えましょう。ここはお店のルール、会社のルール等もあるのでそこに則った意見を言えなければいけません。だから、教える人が絶対的な回答と実力を持っていないと何を言っても響かないことは明白ですよね。しかし、これを何回も、何十回も、何百回も繰り返していくと、考えることなく体が反応して動きます。これが、作業です。

さぁ、作業を覚えてもらうことができた、いよいよサービスです。

サービスと作業

え?!サービスと作業は別なの?と思う方…もいますよね。私も沢山出会ってきました。ハッキリ言います。

サービスと作業は別物です

作業はあくまで「次のお客さんが来るまでの準備、次の料理が出てくるまでの準備」のことだと私は思っています。一方サービスは対人、対お客さんで「この人たちはどうやったら気持ちよく過ごして、笑顔で帰れるか」を考えて行うものだと思います。これは私個人の考え方なので、「いやいや…」という意見は持っていただいて構いません。

さて、じゃあ「サービスを教える」ってどうやるか、ですよね。ここに関しては人件費、時間を使ってしまいますが、マンツーマンで付きっきりで教えるのが1番です。もっと言えば、そのスタッフ1人に対して、常に同じ人が教えてあげるのが教わる方も混乱しなくて安心します。作業は全員共通でもサービスは十人十色のスタイルがあります。また、サービスに入るタイミングも100点に近い回答はありますが、それもお客さんしか答えを持っていないので、教える人が違うとタイミング、所作が変わってくるので同一ペアが望ましいでしょう。

教えることで1番難しいのが、距離感では無いかと思います。距離感とはお客さんとの距離ですね。ラフに友達のように接してほしい人もいれば、ゆっくり自分たちだけの時間を大切にしたい人もいます。なので、まず初めにお客さんの5パターンを教えて、それぞれの対応の仕方を教えてあげると良いと思います。お客さんの5パターンとは

・1人
・カップル
・友人同士
・合コン
・接待

以上のことです。パッと見ただけで、「自分ならこのパターンの時はこう対応するなぁ」と思い浮かんだ方はサービスマンとして素晴らしいと思います!そのお持ちの感覚を言語化して、スタッフに伝えていくことが重要になります。

さて、この5パターンに対して私ならどう対応するか…。

については、また次回に書きたいと思います。今回も長くなってしまいましたが、お付き合いありがとうございます。

ひとまず、ここまで。
To be continued.

それでは、また。

Gracias!!

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