先日、知人を介してある依頼をいただきました。
「現在、ワインバーを経営しているんだけど、そこで朝から夕方までの時間にカフェをやろうと思うんです。」と。
「今まで携わって来なかった、カフェ業態について知りたい。」ということでした。
上手く話が纏まれば、開業のお手伝いができるかな…?といったお話です。
自分のバリスタとしての知識、技術をフル動員しての話し合いとなりました。
まず、何をするか?
打ち合わせ当日、私はそのカフェを開く街を歩きました。
そうです。
市場調査みたいなことです。
近隣にライバル店(になるであろう)がどれくらいあるのか、どういったメニュー構成で、どのくらいの値段設定なのか…
客層はサラリーマンなのか、OLさんなのか、地元の方々なのか…
喫煙できるのか、加熱式だけなのか、禁煙なのか…
見るべき点はいくつもあります。
オーナーさんにどれだけ「こういうカフェにしたい」「こういうコーヒーを出したい」という熱量があったとしても、街に合っていなければお客さんは入りません。
忙しいオーナーさんに変わり、出来る限り近隣のお店を回り街の傾向や流行りを見て回ります。
そうして初めて、打ち合わせに臨みます。
どんなカフェにしたい?
「カフェ」と一口に言っても、様々なスタイルがあります。
ベーシックにハンドドリップを中心にするのか。
ちょっとレトロにサイフォン式にするのか。
モダンなスタイルのエスプレッソ系にするのか。。
はたまた、ドリップもエスプレッソも両方提供するのか…
それぞれのスタイルは、当たり前ですが一長一短があります。
自店でどこまで出来るのか。
スタッフ育成(技術や知識)にどれだけ時間とお金をかけられるのか。
設備の導入予算は。
その部分が絞り込めるだけで、やれることはハッキリと見えてきます。
では、今回はどうでしょうか。
オーナーさん曰く「コンビニや、大手チェーンとは一線を画す店にしたい」とのことでした。
「早い、安い」という部分で戦うことで、従業員が疲弊していくことを心配していらっしゃいました。
そこで、エスプレッソマシンの導入をご提案し、抽出技術などの指導が出来ることをお伝えしました。
しかしながら、エスプレッソマシンも安いものではないので、導入費用の関係でナシになりました。
ということで、「ハンドドリップ系で行こう!」という方向が見えてきました。
そこからは、スタッフさんが手で淹れるのか、マシンを導入してほぼ全自動にするのかの話し合いとなりました。
人 vs 機械の論争
この議題は永遠に無くならないんじゃないかと思います。
機械を導入すれば、初期費用はかかりますがスピーディーな提供、一回での量産が可能になります。
また、最新の機械は何パターンか抽出レシピを登録することができ、店舗のオリジナルレシピから、はたまた世界チャンピオンのレシピも再現することが可能です。
さらに、スタッフさんの技術レベルなどに左右されず、常に安定した味で淹れることで「いつ飲んでも同じ味」という安心感を与えることができます。
一方、手で淹れた場合です。
完全に風景的な利点になりますが、コーヒーだけでなく料理もそうですが、「作っている」「淹れている」という画が既に価値のあるものになっていると考えます。
また、最初は慣れなくて拙い抽出だったとしても、毎日のように通ってくださり、スタッフさんの抽出技術が上がっていくことでお客さんも店へ、スタッフへの愛着が湧いていくものだと思います。
(駆け出しのアイドルを応援するかのような感覚でしょうか)
そして、1番の利点は「常に出来立てを提供できる」ということではないでしょうか。
機械化は保温と“ほぼ“セットです。
(あくまで「ほぼ」ですからね。)
皆さんも経験ありませんか?
「コーヒーショップ」と呼ばれる店でコーヒーを頼んだら、「これ何時に淹れたの?」ってくらいに保温焼けしたシロモノが出てきたこと。
もちろん、保温機能が付いていない機械もあります。
「最高のレシピを、出来立てで」みたいな感じです。
個人的には、世界チャンピオンのレシピとか飲んでみたいので、いくらでも払うし、どれだけでも待ちます。
しかし、コンビニコーヒーが台頭し、コーヒー業界を脅かしてからと言うものの、機械で淹れたコーヒー1杯に3分〜5分待てる人がどれだけいるのか?という疑問を持っている私もいます。
そういう側面から見れば、スタッフ自らが淹れている姿、所作を見ながら話をしたり、香りを楽しんだり…という時間もまた、価値・体験になるのかな?と思います。
今回は、最終決定はオーナーさんが行うので、成り行きを見たいと思います。
今後の展開は…
お察しの方もいるかと思いますが、今回の件は私がコンサルタントとしてお手伝いすることとなりました!!
まだまだ細かい部分が決定しておりませんので、会社名様はまだ公開いたしません。
これから、豆の選定、その豆での試飲会、機材の選定、導入など、ToDoが盛り沢山です。
おそらく豆の選定段階でまた、経過報告としてブログをアップすることになると思います。
徐々に情報を公開していければと思います。
これから1軒でも多く、美味しいコーヒーを提供する空間を作るお手伝いが出来たらと思います。
それでは、また。
Gracias!